・ 虫歯が大きく、今から神経をほじって取る抜髄を行うとき。
→ 患者様の視点としては
「神経を取る処置なのだから、取ったらもう痛くなくなるはずだよね」
ごもっともです(>_<)
また、
・ 全然痛くも無いけれどレントゲンで「根の先に膿が溜まっていますから治療しなおさないといけません」と言われて、根の治療をするとき。
→ 患者様の視点としては
「もう、神経は取っている歯なのだよね。だから痛いはずがないよね」
ごもっとも、ごもっともです(>_<)
しかし、違うのです。
その理由をこれから述べさせていただくのですが、とっても乱暴に先に結論をまとめてしまうと
歯医者の説明不足
と言えるでしょう。
「神経を取ります」とか「神経を取った歯ですから」と言われれば、先ほどのようにお考えになるのは至極(しごく)ごもっともです。
ただ、説明が不足してしまうのにも理由もありまして。
それをこれから説明させていただきたく、こうしてキーボードを叩いています。
冗長な文章を書くと余計分かりづらくなると思いましたので箇条書きに書きますね。
・ 歯には実は「ふたつ」神経があります。
・ 中に納まっている「歯髄(しずい)」がそのひとつです。
・ 「虫歯が大きいから歯の神経を取らないといけません」、というようなときの神経とはこちらのことを指します。
・ こちらは冷たい・熱い・虫歯が凍みる、などの感覚を司っています。
ここまではよろしいでしょうか? 続けますね。
・ 歯にはもうひとつ、大切な感覚がありますよね?
・ 噛み応え、の感覚です。
・ たくあんとせんべいの噛み応えは全然違いますよね?
・ 圧力のセンサーが根の表面にびっしり張り巡らされているのです。
・ これが非常に鋭敏なセンサーでして、ここに炎症が起きると大変痛いのです。
・ このセンサーのあるところを歯根膜(しこんまく)、といいます。
皆さん、一度はご覧になったことがあるかと思われる図ですよね。
細かいところは省略した図にしました。
「歯髄(しずい)」と「歯根膜(しこんまく)」をご確認下さい。
歯髄は根の先から歯の中に進入している構造となっています。
だから根の先では歯髄と歯根膜が連続しています。
ここに炎症が生じると、歯根膜にも炎症が移ってしまい、こちらのセンサーが痛みをうったえる事態になるのです。
それをあらわしたのが次の模式図です。
虫歯で穴が開いて歯髄に炎症が生じました。
歯髄が腐り、根の先から漏れ出してしまいました。
根の先に漏れ出した膿みは歯根膜にも炎症を及ばせています。
こういう図です。
↑
ここで歯髄と歯根膜が接しています。
すると炎症も歯髄から歯根膜に及ぶのです。
でも、皆さんとしては
「だったら、初めから『神経は歯髄と歯根膜とふたつあるから』って言ってくれたらいいのに」
と思われるかもしれません。
それについてはおっしゃるとおりなのですが、
時間も限られている中なので、必要最低限のご説明をするのでせいいっぱいな現場の実情もあるのです(>_<)
でもそれは言い訳ですよね。
当院では出来る限り予め、ご説明をさせていただいて治療を開始させていただきたいと考えています。