保険の効く差し歯、効かない差し歯
今回は「かぶせ物をすることになったとき、いくつかの種類があるけれどそれぞれどう違うの?」
という内容についてご説明させていただきたいと思いました。
いつも私が治療内容のご相談をさせていただくときにするお話をここに書かせていただきますね。
ちょっと長くてすみませんがよければお付き合いください。
まず、「かぶせ物」という表現は歯を360度すっぽり覆うタイプのことを表現するとしますね。
こちらのようなタイプのことです。「クラウン」と言います。
(一方、歯の内側にはめ込むタイプのことは「インレー」と言って、ここでは除いて考えることにいたしますね)
これが「インレー」です。今回はこれは除いてご説明させていただきますね。
さて、再掲しますが、下のような銀歯。
クラウンを考える上で一番基本的なものです。
いわゆる「保険の効く銀歯」、というやつですね。
これは基本的に奥歯のものです。
前歯に入れるためにこの、銀のかぶせ物の上に白い材質を貼り付けます。
それがよく「前歯の差し歯」と表現されるものです。
この写真は、かぶせ物を裏返して内側が見えるように撮ったものです。
この白い材質、に何を用いるか?
それによって保険の適用とそうでないものとに分かれます。
レジン、というプラスチックのような材料を使用するものとセラミックを使用するものに分かれます。
保険の効く差し歯
レジンを使用した場合、これが「保険の効く前歯の差し歯」です。
作った当初はこれも結構きれいなんです。
「保険だから」といって全然馬鹿になんかできません。
でも、残念なことに年数が経つとやや変色する傾向があるのは事実なんです。
特にタバコやコーヒーなどの色が着きやすいですね。
左側の2本が保険の効く差し歯です。
セラミックの差し歯
一方、白い材質にセラミックスを用いる方法もあります。
通称、「メタルボンド」といいます。
これですと、レジンで見られたような欠点はありません。
年数が経っても白さが落ちないですね。
しかし欠点がありまして、要は健康保険が適応されないのです。
国としては、「そこまでの治療に国の財源を拠出して面倒は見れない。
もし患者さんが希望するならば、歯医者と二人で相談してやってくれ。
価格は二者で決めてください」ということなんですね。
だから自由診療、と言うことなんですね。
細かい点としては、保険の効くレジンの差し歯は裏面に銀色が露出します。
要は白い材質(レジン)は表側のみです。これは材料の強度の関係です。
セラミックの方は基本的に裏面も白くすることが多いです。
こうして、メタルボンドは長らく「いい差し歯」と(あいまいに)表現されるかぶせ物として保険外診療の主役でした。
いまだに現役選手ですし、これからもなくなることは無いでしょう。
しかし技術は進歩を続け、新たな(実は発想自体は新しくないのですが)技術が台頭してきました。
それが「オールセラミックス」です。
メタルボンドは長らく自由診療の差し歯の主役でしたが欠点も昔からわかっていました。
たくさん歯を削らなければならないことから生じる欠点と、内側に金属を持つことによって生じる欠点です。
前者はここでは割愛して、後者の問題を言えば以下の二つです。
・透明感がないこと。(自然感に劣る、ということです)
・歯周病が進行して歯茎がやせると内側の金属が見えて歯茎との境目に黒い部分が目立つことがある。
・金属を使用しますので人によっては金属アレルギーを生じる場合もあります。
このことを改善するにはどうしたらいいのかも、わかっていました。
内側に金属があるから生じることなので金属を用いなくて、すべてセラミックスでかぶせ物を作ればいいのです。
でも、強度の問題があって出来なかったのです。
(一応、技術としては昔からありましたが広く普及するには信憑性が足りませんでした)
それが近年の技術革新により可能となりました。
金属を使用せず、100%セラミックスで作成します。
ですので「オールセラミックス」です。まんまですね。
これですと、上記の欠点がすべて改善されます。
透明性があって自然な歯の感じがあります。
歯周病によって歯茎が下がっても中の金属が露出することもありません。
セラミックスは体に優しい素材です。(生体親和性が良い、と表現します)アレルギーなどもありません。